ウサギと亀の童話は有名ですよね。中国人の間にも普通に伝わっているようです。でも、その評価とか捉え方が日本人とは結構違っていて面白いよなぁ、と。
前回のエントリーとも少し被ってくるのですが、勝者、強者への考え方が非常に現実的です。
今回はそんな、ウサギと亀の童話の日中ギャップのお話。
うさぎとかめ、日本サイド
ウサギと亀のお話、古典中の古典として有名だけれどサラッと復習。
足の速いウサギと足の遅い亀がかけっこで競争をすることになりました。途中、圧倒的な差を付けて進んでいたウサギがゴール前に油断して昼寝をしていたところ、黙々と進み続けた亀がウサギを追い抜いて勝利した、というストーリーです。
イソップ寓話に有名ですが、同様の内容は他にもあるようです。ウィキィペディァ先生によると西洋との交易と共に室町後期には日本に紹介されていたようで、明治になって教科書に採用されたことで全国的知名度を得たのだとか。
その際のタイトルは「油断大敵」。訓話として、能力のある者の怠慢を戒め、全力を尽くすことを勧めるには最適な内容です。たゆまぬ努力による達成もテーマに入っているし、なんか開国後の日本人のスタイルとマッチしてますよね。
そう、日本ではとかく、相手を舐めた者の哀れな末路みたいにウサギが批判される話です。少なくともヤンメイはそう捉えていました。
うさぎとかめ、中国サイド
でも、中国人である妻の捉え方は全然違っていました。毎度のことながら、妻の個性か中国人のスタンダードかを区別出来ない話ではありますが。
もちろん、ウサギと亀のお話自体は中国にも同じように伝わっています。訓話大好き中国人にも受ける内容なのでしょう。
でもね、中国ではウサギ批判には繋がらないらしいのですよ。
油断全然オッケー!
そういうこと?
うん。まぁそんな感じ。
というか、この負けってなんかまずいの?みたいな。
確かに今回はウサギ負けちゃったけど、あの足の早さは本物じゃん?次やればもう負けはないでしょ!?ウサギの実力に疑いはないんだから、一度の負けで信頼は揺るがないっス!
という捉え方のようです。
新しい〜っ!
なんだそれ?かなり目からウロコです。が、確かに正論!
ウサギと亀の話に次回とか考えなかっだけど。これで油断をしなくなったら、ウサギはよもや亀に負けることはないよね、普通。
高い実力を持った者がたまたまチョンボをしても、その一回のチョンボよりも普段の高い実力が考慮されて、それほど評価は下がらないみたい。
科挙の国なんだけど、一発勝負の入試の点数より、授業態度みたいな平常点を重視するの?なんか不思議な感じ。
イージートライ中国人!
確かに、これって中国人精神を感じる逸話です。というのも、中国人はめちゃくちゃ起業家精神に富んでいるのです。
もう、驚くほど簡単に事業を起こしてしまう。実行力があるというか、計画性がないというか。臨機応変と言えば聞こえはいいですが、場当たり的ですらあります。とにかくトライと実行が早い。それでダメならあっさり辞めてしまいます。
でも、全然メゲない、懲りない。すぐに復活して全然違うトライをしたりします。20回失敗しても21回目に成功すればいい、くらいの気軽さに見えます。多分ね、日本人は怖くてここまで気楽にトライ出来ません。むしろ、起業家として一度もトライしない人生を歩む人の方が圧倒的多数じゃないでしょうか?
これを可能にするどんな背景があるのか?妻も中国を離れて長いのでよく知らないんですけどね。システムの問題だけでなく、あまり失敗をとがめない文化があるんでしょうね。トライするべき!みたいな。
この辺りの発想と、一度の負けをとやかく言わないって点は繋がっているように思えます。
油断ダメ、絶対
でもね、これもまた面白いのですが。こうした寛容さはウサギと亀だから、という面もあるようです。ウサギとウサギでは負けちゃダメなんだと。
どういうことか?大きく実力差のある者が油断して負けても、まぁそれはそれで良いと。でも、実力が僅差の者同士が油断して負けるのは許さん!こういうことらしいです。何故かはよく分かりませんが。
油断出来るほどの力の差がない者は油断なんかするな!ということでしょうか?
ん?
そもそも、実力差のない、油断すべきではない相手に油断しちゃダメですよね?ということは、これは日本でもダメなやつだ。弱者には油断オッケーのインパクトが強過ぎて混乱してたみたい。
ともあれ、負けウサギに意外にも冷たくない中国人のお話でした。