海洋散骨
何デスカ?ソレ…
見慣れない字面のような、なんとなく想像がつくような。
まぁ、ぶっちゃけね、遺骨を海に撒く行為ですよ。現代の供養の形の1つですね。
実は最近近親者を亡くしまして。供養の方法を色々探るうちに海洋散骨にたどり着き、東京湾で散骨して来ました。
でも、なかなか散骨の当事者による情報って少ないのですよ。大体が業者さんのサイトばかり出てくる。その口コミがウソとは思わないけど、個人ブログの感想とかが読みたいんですよねぇ。探してる情報に会えないぞー、Google!しっかりせい!!
そんな訳で、今回は海洋散骨にたどり着いてから実際にやって来るまでの、経験者の口コミ体験談です。
国際結婚は散骨でしょ?
ヤンメイ家では散骨は既定路線です。墓を守るとか、外国人には荷が重いですからね。ヤンメイ家の場合、ヤンメイが先立ったとき、お墓とかあると残された妻は困ってしまうと思います。実際、日本人のヤンメイだって色々分からないことだらけだし。
ヤンメイ家は目下、長女の一人っ子がいるだけです。この先の時代、生活の拠点が日本かも分からないし、結婚相手が日本人とも限りません。なので、不確定な未来を縛るお墓は不要なのです。
幸いにして、ヤンメイ父は墓守りの義務のない人で、自身も散骨を希望していたので、そもそもヤンメイ家にはお墓がありません。とは言え、そんな事情なので、ヤンメイ家にお墓があっても墓じまいしていたと思います。
他の国際結婚のご家庭がどうしているのかは全然知りません。でも、この少子化、核家族化が進む中、散骨を選ぶ人達は増えていくんじゃないかなぁ、と思います。国際結婚家庭では特にね。
お墓はお骨を納めて故人を供養する場所です。なので、全ての骨を散骨してしまう人達ならば、お墓は不要になります。もちろん、お仏壇であるとか散骨をした場所とか、手を合わせる行為はどこでも出来ます。義務の生じるお墓がないだけで、供養の気持ちにはなんら変わりありません。
多少困ることといえば、お盆やお彼岸などに手を合わせる際、偶像(目標物)がないと締まらないだけです。なので、一番の問題は親族とか世間体とか他人の目なんです。
それよりは残された家族の負担を重視するのが国際結婚家庭な気がします。
散骨ってやっていいの?
さて、散骨やって来た報告なんだから今さらなんですけど。
ただ骨を撒いちゃっていいの?
と、当然疑問が湧いて、色々調べましたよ。
結論から言えば
OKです!
骨を撒くのは良いのです。
ただし、条件付きで。
その条件とは骨を粉にすること。
厳密には分からないですけど、骨をそのままの形でバラまいてしまうと、遺棄罪、つまり捨てちゃいかんもんを捨てた罪に問われます。
そりゃね、川とか山とかに人骨っぽいモノを発見しちゃったら、なんか事件性を感じるし、何よりビックリするじゃないですか!?
なので、人骨をそのままではなく、粉骨、つまりパウダー状にするのが一般的みたいです。そうした形にしていれば撒いてもオッケー!現在の法律ではそんなことになっています。
もちろん、自分でハンマーとか石臼とかでパウダーにするのもありかも知れませんが。どれだけ細かくすればセーフなのかは分かりませんからね。業者さんに頼むのが安パイだと思います。
ネットで業者選び
「散骨」で検索するとまずは広告。その下にも延々と業者さんが出てきます。そこで初めて「海洋散骨」という単語を知りました。
なんかね、散骨するにも山とかだと所有者の問題があるし、川だと生活用水として使うかもだし、自然と残る選択肢は海しかない気がします。海だって生活に使うけれども、海は広大だし、一応骨は自然のものですから、まだいいのかな?と。
そして、海洋散骨をやっている業者はたくさんあって、費用もそれぞれです。ざっくり分けると、業者さんに依頼して遺骨のパウダー化から散骨までノータッチで代行してもらうスタイルと、遺族が船で海まで行き、自身で散骨するスタイルがあります。
前者は2.5万〜6万円くらい、後者はまた、乗り合いと貸し切りがあり、8〜40万円くらいでした。(ヤンメイ調べ)
基本的には、遺骨の回収、粉骨、乗船のうえ散骨、セレモニー(献花、献酒)、散骨証明書などが含まれる会社が多かったです。あまり安い会社は色々とオプションで追加費用が発生します。
業者選びのポイント
そんな色々業者があった中で、ヤンメイが業者選びの際に気にした条件がいくつかありました。
最安値ではない
いや、なんかね。故人に「ケチりやがって!」とか思われたら嫌じゃないですか(笑)。実際のところ、最安値を選ぶというのは少々心理的抵抗があります。
今回調べた中では、最安値は平均値の半額くらいなので。なんでこれほど価格差が生じるのか不安になったのも確かです。
安さも大切ですが、安心感も大切ですよね。
全てコミコミ料金
前項とも繋がるのですが、総額いくら、というのが明示してあることも大切です。
あまり安いところは色々オプションでかかってきて、総額では大差ない、なんてこともありそうですから。
必要なことが全て含まれた上で、総額が明示してある業者さんがいいですね。ちなみに、ヤンメイの選んだところは、消費税も込みで非常に明朗会計でした。
人による遺骨の回収
これも費用がかかるのですが。ヤンメイ、遺骨を宅急便で送るのに抵抗がありまして。とはいえ、業者さんに自身で持ち込む時間的余裕もなかったので。人による回収をしてくれるところを選びました。
ヤンメイの選んだ業者さんは、船長さん自らが遺骨の回収に来てくれるところでした。中小企業的なフットワークの軽さと、誠意というか遺骨を大切にしてくれる雰囲気を感じました。
大体、散骨希望日の2週間前には回収に来て貰いました。日程が合って良かった。
割引あり
あんまり安いのもなんだ、と言っておきながらですが。やはり安くなるなら助かる気持ちもあり。
今回、ヤンメイ家は3人で参加だったのですが、3名までの参加なら1万円引きだったので。
これも密かに選定ポイントになりました。
万寿さんに決定!
以上の条件を満たしてくれた上で、日程が合ってお願いした業者さんが、万寿さんでした。
広告費もそれほどかけていないのか、検索の凄い上の方で見つかった訳ではないのですが。諸条件が合う上に、お手頃な料金だったので、こちらにお願いしました。
粉骨代、回収代、献花代、献酒代、散骨証明書発行代、燃料代、骨壷処理代、スナップ写真一式(CD渡し)発送、などなど。全てしてくれて、税込み14万円でした。
これを安いと見るか、高いと見るかはそれぞれですが。ヤンメイは納得してお支払い出来る金額だと思いました。
そして、ヤンメイ、申し込み時には理解していなかったのですが、これチャーター料金だったんですよ!
今、記事を書くにあたって、サイトを読み返して知りました。
いや、実は今回の散骨、ヤンメイ家の貸切クルーズでして。
たまたま乗合の人がいない日程、時間帯だったと思っていたのですが。そうではなくて、そもそもがチャータープランだったみたい。
それで14万円は破格の安さです!
他所の乗合いプランとほぼ同額ですから。引きの良さに我ながらビックリしています。
散骨するまで
散骨の依頼
まずは希望散骨日をいくつか挙げて、その日程に実施出来るかの確認メールを数社に送りました。各社、可不可あり、その中で前記の条件を満たしてくれた万寿さんに電話で申し込みをしました。
その電話の中で、遺骨の回収日を決め、参加人数も確認されました。その時点では、参加人数が未定だったので、確認の上、後日連絡する約束をしてその場は終了。
後日、散骨の3日前くらいになって、1人参加者が増えるけど大丈夫か?の確認の電話をしましたが、すんなりオッケーでした。
遺骨の回収
お約束の日に指定の場所まで、船長兼社長さんが遺骨の回収に来てくださいました。堅すぎず、当たりの柔らかい感じの方でした。
その場で申込み書を記入、捺印して手続きは終了。お支払いは当日で。遺骨は埋葬許可証と一緒にお渡しします。事件性がないお骨であることを担保する為でしょうかね。
あと、必要なものはこちらで用意するので、特に用意するものはないけれど、遺影をお持ちになっても良いですよ、と言われました。
これ、ヤンメイ的には変な感じでね。いや、遺影に散骨シーンを見せる絵ヅラって不思議だな、と。なんとなく、故人が遺影を通して物を見ている気がするんだけど、自分で自分の骨を撒かれるのを見送るのってどうなんですか?っていうね。
なので、いえ、特に遺影も持ち込まないので大丈夫です、とお伝えしました。
あとは待ち合わせ場所の地図をいただき、その日は終了です。
粉骨後は骨壷の処理も料金に含まれています。これも大切なポイントで、骨壷を返していただいても、捨てるのに困りますしね。ありがたいサービスです。
海洋散骨当日の流れ
船の様子
当日は月島近くの船着場に集合して乗船します。すでに停泊して待ってくれている船に乗り込み、割とすぐに出発します。
船は小型(?)のクルーザーで、船室はソファとテーブルがあり、エアコン完備です。簡単な流し台とトイレもありました。12人まで乗れるようなので、ヤンメイ家の3人乗船は本当贅沢。
テーブルには遺骨と献花用の花、献酒用の酒が用意されていました。ヤンメイ家の場合、パウダー化された遺骨は4つに分包されていました。
そのまま船室で過ごしても良いのでしょうが、ヤンメイ達は後部デッキやブリッジ(2階運転席)で風を受けて過ごしました。幸い、好天でしたので、湿っぽい感じはなく、珍しい船遊びの風情です。
というか、せっかくの洋上からの景色を撮ろうとカメラを向けるとピースする我が親族。この楽な感じが供養というより楽しいレジャー感覚で。ヤンメイ的にはとても良かったと思います。
全然余談ですが、洋上は花粉とは無縁らしく。マスクなしでも大丈夫です、とのアナウンス。春の陽射しの中、久々の素顔で過ごせたことも開放感のあるイベントになった原因だったかも。
散骨セレモニー
出航から30分もせず船は散骨ポイントに到着します。ディズニーランド沖の辺りです。
こちらの洋上で遺骨の入った袋から海に散骨していきます。前屈みで海に袋を近づけて撒かないと、風で舞い上がってきます。かなり細かいパウダーにしていただいていましたね。袋も水溶性なのでそのまま海へ。
その間、バックでは鎮魂歌というかしめやかなBGMを流して下さるので、自然と厳かな心持ちになります。
献酒、鐘に合わせて黙祷、献花とセレモニーを続けていきます。ちなみに、ここでの黙祷は目を開いて、デッキの手摺に捕まって行う変則スタイル。海で素人が目をつぶって立つなんて危険ですからね。それも納得。
その後、献花した花が浮かぶ洋上を船で周ってもらい帰路につきます。
少人数でしたし、セレモニーそのものは10分程だったでしょうか。春の陽射しに恵まれた好天で本当に良かった。これ、真冬の荒れた海とかだったらレジャー気分どころじゃありませんよ。
下船時、オススメのお食事処などを教えていただき、一連のイベントは終了です。あっ、この時に現金でお支払いをします。領収書と次回乗船時(◯回忌みたいなクルーズ?)の割引券もいただけますよ。
後日談
サイトには2週間後とありましたが、2日後には散骨証明書と散骨ポイントの図面、セレモニーの時の写真を撮ってくれており、それをCDに焼いた物が一式送られてきました。仕事早っ!
なるほど。図面をいただけると散骨場所がビジュアルで分かってとても良いです。
写真は…まぁ、サービスだし、自分達の姿は撮れないのでありがたかったです。ただ、写真に関してはあくまでサービスと捉えるのが良いかな。記録としては充分なレベルです。
散骨証明書は公的書類ではなく、サービス的な記録だと思います。これも、ただ「海に撒いた」というよりは後の目安になって良いですね。
総じて言えば、海洋散骨、やって良かったです。そして、万寿さんにお願いして良かった、と満足しています。必要充分にして、明るく伸びやかな、素敵な葬送が出来ました。青空の下での散骨は、哀しみだけではなく、ちょっとレジャー気分もある良い思い出となりました。
しがらみの少ない方、あっても乗り越えられる方は、検討する価値があると思います。
そんな、海洋散骨をやって来た遺族による感想のお話でした。